「短期間で、お金を貯めたかったんです」——そう話すのは、鳥取県出身の奥田なみさん(19歳)。バイトを探していたときに“住み込みのリゾートバイト”という選択肢を見つけ、選んだ先が、名湯として知られる群馬県・草津温泉の「ホテル一井(いちい)」でした。
地元を離れ、初めての土地で、初めてのリゾバ。取材はまだ働き始めて約1週間という“はじめたて”のタイミングでした。緊張と発見の入り混じるリアルタイムの声は、これから一歩を踏み出す人にとって、等身大の道しるべになるはずです。飾らない本音を、たっぷり伺いました。
| お名前 | 奥田 なみさん(おくだ なみ/仮名) |
| 年齢・性別 | 19歳・女性 |
| 普段の生活 | 鳥取県出身。アルバイトをしながら生活するフリーター |
| リゾバ時期 | 2026年8月22日〜10月21日(約2ヶ月間の予定)※取材時は約1週間目 |
| エリア・施設 | 群馬県・草津温泉「ホテル一井」 |
| 職種 | 館内全般業務(取材時は売店をメインに就業) |
「短期でお金を貯めたい」から始まった、住み込みという選択
これまで地元でアート引っ越しやラーメン店、神戸での接客業など、幅広いアルバイトを経験してきた奥田さん。数ある働き方の中から、なぜ住み込みのリゾバを選んだのでしょうか。
── そもそも、リゾバはどうやって知ったんですか?
バイトを探しているときに、Indeedで住み込みのリゾートバイトっていうのがあって。「こういうのがあるんだ」って知りました。もともと短期間でお金を貯めたくて、住み込みを探していたんです。それでこれかな、という感じでした。
動機はシンプルに、短期集中でまとまったお金を貯めること。住む場所と食事がついて、生活費を抑えながら働けるリゾバは、その目的にぴったりの選択肢でした。
── 行き先を草津に決めた理由は?
草津温泉が有名なところだったのと、あと、前に神戸に行ったときはすぐ鳥取に帰れちゃう距離だったので。今回は思いきって、遠いところに行こうと思ったんです。あと、自然のあるところで働きたいなというのもありました。
「地元からあえて離れたい」——その気持ちも、草津を選んだ理由のひとつでした。もともと希望していた職種は、調理・調理補助。「調理師みたいな仕事を目指していて、やるなら調理系をやってみたいなと思って」。結果的に配属は売店になりましたが、有名温泉地・遠方・自然という条件が重なり、草津での2ヶ月が決まりました。
── 行く前、不安とワクワク、どっちが大きかったですか?
楽しみの方が大きかったですね。あんまり不安はなかったです。
実は奥田さん、以前に神戸で3ヶ月ほど暮らした経験があります。「一度地元を離れて生活したことがあったので、“やっていけるか”という不安はあまりなかった」。その経験が、初めてのリゾバへのハードルをそっと下げてくれていました。
売店スタッフの“ある一日”:シフトで変わる、3つの始まり方
奥田さんの担当は、館内の売店。特徴的なのは、出勤時間が日によって大きく変わること。始業は主に「7時半/8時」「11時」「13時半」の3パターンがあり、開始時刻によって最初の仕事が変わります。
| 早番(7:30〜8:00開始) | 起床は1〜1.5時間前。開店準備、トイレ清掃、試食の準備などから一日が始まる |
| 中番(11:00開始) | 起床は9〜10時ごろ。レジ業務と売り場清掃が中心 |
| 遅番(13:30開始) | 起床は9〜11時ごろとゆっくり。レジ業務から入る |
| 休憩 | 昼ごろに35分+その2時間後に15分の計50分ほど |
| 退勤 | 早番なら15:30〜16:00ごろ/遅番なら21:30ごろ(実働約8時間) |
勤務は週5〜6日のシフト制。「シフトで決まっていることもありますが、“この日休みたい”という希望を出して決められる」といい、遊びに行きたい日に合わせて休みを取ることもできる柔軟さがあります。
── 忙しい時間帯、落ち着く時間帯は?
10時くらいと、お昼をちょっと過ぎたあたりが忙しいです。宿泊のお客さんが多くて、特に休日は混みますね。最近はもう、ずっと忙しいくらいで(笑)。
宿泊者の利用が集中する時間帯は、売店も一気に活気づきます。外国人客も多く訪れますが、「困ったときは英語を話せる方がいるので、代わってもらったりできる」と、フォローし合える体制も。オーダーを覚える必要のある調理系と比べ、新しく覚えることが比較的少ないのも売店の特徴だといいます。
── 地味だけど大変、という仕事は?
11時出勤のときのトイレ掃除ですかね。利用者の方が普通に入ってくるので、なかなか思うように進まなくて(笑)。それくらいで、他に特別きつい仕事はないですね。
お金のリアル:月19〜20万円、そして“使う場所がない”環境
「みんな一番知りたいところ」であるお金の話。取材時点ではまだ初給与の前でしたが、条件と見通しを具体的に聞きました。
| 月の手取り(見込み) | 約19〜20万円 |
| 勤務日数 | 週5〜6日(希望を出して休みを決められる) |
| 寮費 | 負担なし(住み込み) |
| 食事 | 出勤日は昼・夜が無料/休日のみ1食250円(給与天引き) |
| 2ヶ月の目標貯蓄 | 約40万円弱(引っ越し・免許取得の資金に) |
寮費はかからず、食事も出勤日は無料。休日でも1食250円と、生活コストはごくわずかです。「賄いのご飯も、結構おいしいんですよ」と奥田さん。そして何より、お金を使う機会そのものが少ない環境でした。
── お金は貯まりそうですか?
貯まりやすいですね。もう本当に、仕事で疲れて寝るか、みたいな感じで(笑)。休日も少ないので、遊びに出るより「ゆっくりしたいな」が勝っちゃうんです。だから、あんまり使わないですね。
目標は、月19〜20万円 × 2ヶ月で40万円弱。その使い道は、当初は運転免許の取得を考えていたそうですが、取材時点では「まず関東で一人暮らしを始めて、それから免許を取ろうかな」と、新しい生活への資金にする計画に傾いているとのこと。リゾバが、次のステップへの明確な足がかりになっていました。
休日の過ごし方と、住み込みのリアル
取材時はまだ休日が1回あったばかり。その貴重な休みを、奥田さんはこう過ごしました。
── 休みの日は何をしていましたか?
朝はゆっくり寝て、ご飯を食べて、ちょっと買い物に行って。あとは部屋のことをしたり、ゆっくりしていました。近くにコンビニ(セブン)が歩いて3分くらいのところにあるので、最低限のものは揃うなという感じです。
有名な湯畑をはじめとする草津の温泉街散策は、「まだできていないので、これからの楽しみ」。仕事を覚えることで精一杯だった最初の1週間を越えた先に、この土地ならではの体験が待っています。
── 住み込みの寮は、住み心地どうですか?
全然問題ないですね。近くにコンビニもあるので助かっています。強いて言うなら、寝具まわりは持参のタオルや枕カバーを重ねて使うようにしていて。そうやって自分好みに整えたら、快適に過ごせています。
寮では、トイレットペーパーや洗濯洗剤などの生活用品が持参制だった点が、行く前のイメージとの一番のギャップだったそう。「共用部にあると思っていたので、最初はびっくりしました。でも近くのセブンで買えるので、大丈夫でした」。こうした“寮ごとのルール”は事前に把握しづらいため、最初にひと通りの生活用品を準備しておくと安心——これは後半のアドバイスにもつながります。
行く前と実際のギャップ、そして「意外と、生きていける」
── これは意外と良かった、ということは?
慣れたら楽だな、って感じです。覚えることは多かったですけど、仕事も生活も、慣れたら普通に生きていけるなって。そういう安心感がありました。
楽観的な性格もあってか、「これがしんどかった」という強い不満はほとんど出てきません。一方で、初めての土地ならではの小さな誤算もありました。それが、気候です。
── 気候で、想定外だったことは?
鳥取が暑かったので、こっちも暑いかなと思って、半袖やタンクトップばかり持ってきちゃったんです。でも草津って、夜はちょっと寒くて。この前は雨も降って、20度を切るくらいで。「ちょっと間違えたな」と思いました(笑)。上着を持ってくればよかったなって。
標高の高い温泉地は、夏でも夜は意外と寒くて。
羽織るものが一枚あると安心です!
草津温泉は標高約1,200mの高原にある避暑地。真夏でも朝晩は冷え込むことがあり、都市部の感覚で服装を選ぶと肌寒く感じることも。「もし持ってくるのを忘れても、後から寮に送ってもらうこともできるので、そこまで心配はいらないです」と、経験者らしい補足も添えてくれました。
1週間で感じた手ごたえ:「今回は、大丈夫そう」
まだ1週間ながら、奥田さんは早くもこのリゾバに手ごたえを感じていました。その背景には、以前の神戸での経験がありました。
── リゾバをしてみて、良かったと感じることは?
お金が貯まりやすいのと、あと、私の場合は地元から結構離れているので。「すごく動いたな」って感じがして。もともと鳥取から出たい気持ちもあったので、それが叶っているのはいいなと思います。
以前、神戸で3ヶ月を過ごしたときは、ホームシックが強く「ご飯も1週間に1回くらいしか食べられなかった」ほどだったそう。当時は接客業のみで、「19歳だし、何か自信をつけたい、ちゃんとしたことをしたい」という漠然とした不安も抱えていました。けれど——
── 今回は、そのときと違いますか?
今回は全然大丈夫ですね。このリゾートバイトが終わったら、関東に住もうかなって考えているくらいで。今回の仕事を普通にやってみて、「あ、全然やっていけるな」って。そういう感覚があったんです。
リゾートバイトで働いてみて、「全然やっていける」と思えた。
それが自信になりました!
以前は「ちゃんとしたことをしたい」という漠然とした不安を抱えていた奥田さん。そこから一歩進み、今回の仕事で得た“やっていける”という実感。それは、次の一歩——関東での一人暮らし——へ踏み出すための、確かな自信になっていました。リゾバ終了後は関東にいるパートナーのもとへ移り、新生活を始める予定だといいます。
これからリゾバを考えている人へ
── 迷っている人に、一言かけるとしたら?
思っているよりもいい経験になるし、県外でも不自由なく2ヶ月は過ごせるので。あんまり緊張したり不安がったりせずに、まずはやってみるのが全然ありだと思います。
── これだけは準備した方がいい、ということは?
本当に、生活用品ですね。ドライヤーやシャンプーも含めて、寮に備え付けがないこともあるので、そこは準備しておいた方がいいと思います。あと、室内用のスリッパ。寮によると思いますけど、私は「持ってくればよかったな」って思いました。それと、さっきの上着も(笑)。
持ち物のこだわりが強くなければ、「現地のコンビニで買って、使い切って帰るくらいでもいい」とも。荷物を増やしたくない人は、後から寮に郵送してもらうという手もあります。初めてでも気負わず、足りないものは現地で調達すればいい——その身軽な構え方こそ、奥田さんが1週間で掴んだリアルなコツでした。
「短期でお金を貯めたい」——そのシンプルな動機で飛び込んだ草津での2ヶ月は、貯金だけでなく、“地元の外でも、ちゃんとやっていける”という自信を奥田さんにくれました。まだ始まったばかりの日々の先に、温泉街の散策や新しい生活が待っています。難しく考えず、まずは一歩。彼女の等身大の言葉が、迷っている人の背中をそっと押してくれます。




